月 Logo


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プロセス


ロゴのモチーフは、Pietro Agnostiniの「Angel Hair」プロジェクトから着想を得ている。このプロジェクトは2020年、パンデミック初期に始まったものだ。

その頃、彼は山に囲まれ孤立した小さな家で生活しながら、毎日絵を描いていた。そのなかで、彼は音声学に対応するグリフや合字の作成を始め、最終的にAngel Hairという文字体系の創作へと至った。プロジェクトの名前は、これに由来している。

Pietroは次のように述べている:

「言葉というのは決して十分ではありません。言葉が少ないからでも空虚だからでもなく、言葉は言葉自体と対話するために存在しているからです。私は一時的な感覚を頼りにグリフを作り、合理性を保留し、未知のものを刺激し、言葉の論理的な上部構造をなくそうとしました。ひっくり返った牛の頭を現在の『A』に変えた時系列的なプロセスを逆行させたかったのです。グリフは、完全に個人的かつ直感的な方法で文字に割り当てられ、使用者にシルエットをを織りなすように促し、新たな意義ある解釈を考えさせました。

Angel Hairという名前によって、説明のつかないものを把握することの難しさから生じる神聖さや恐れを思い起こさせたいのです。Angel Hairは記憶を助け、自己探求という自然な欲求を和らげます。それは書き手のためのフォントではないのです。」

Heithの「X, wheel」というアルバムカバーアートで彼の作品に偶然出会ったわたしは、Pietroに連絡を取ってみた。すると、彼は親切にも「bulan」(moonまたは月)を彼のAngel Hairグリフに翻訳してくれた。ロゴの中心に描かれているのがそれだ。



3ヶ月後、仕事の昼休み中にインスタのフィードをなんとなくスクロールしていると、今までオンラインで見た中でも最も美しいといえるパーティーポスターを見つけた。2023年9月8日にFinal Taipeiで開催されたDJ NobuによるPure Gパーティー「INCESSENT」のポスターだった。ポスターはnicolò pellarinによってデザインされ、左上には横山純が撮影した写真が使われていた。Finalのインスタに載っている他のポスターと比べるとシンプルなポスターだったが、見た瞬間にデザインに惹かれたので、わたしが所属するマレーシアのDJコレクティブIntermissionのDJ・グラフィックデザイナーであるPang(Neverprof)に送った。

Pangは、PietroのAngel Hair Bulanとパーティーポスター、三女神(ケルト神話)、ファイナルファンタジーを参考に、今のbb.bulanプロジェクトのロゴを作成してくれた。Pang、ありがとう!



でも、なんでファイナルファンタジー?

インターネット・エクスプローラーに夢中の3人の兄弟と育ったわたしは、オンラインゲームで遊ぶ様子を(競争心を持ちながら)お互いにみていたという経験を彼らと共有している。ファイナルファンタジーは2000年代初めに遊んでいたゲームの1つだった(Worms Armageddon、Maplestory、Dune 2000、Command & Conquer: Red Alert 2、Sims 2)。そのアイコニックなRPGの美しいイラストやキャラクターデザイン、物語は、ゲームの領域を超え、台湾の台北にあるクラブFinalからDark0のアルバム「Eternity」のカバーまで、幅広い音楽関連の創造の源泉となっている。


ここで、bb.bulanのロゴに先立つファイナルファンタジーを参照していると示すことは、プロジェクトと参照先の独特な芸術性を同等視するわけではない。わたしが望んでいるのは、ウェブサイトを閲覧する際に、親しみやすいファンタジーの感覚をもたらすことだ。物理的に快適な空間や実体のあるアルバムを提供することはできないが、わたしに影響を与えた刺激的な世界へ読者の皆さんを誘い出すことができれば幸いである。